M&A・投資ブティック経営者の視点

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7月27日週のFXトレード記

ブティック経営者の回想

今週は改めて、コロナウイルスがマーケットに及ぼす心理的脅威の大きさを改めて知らしめられた一週間だった。米企業決算の内容も想定内の発表が多く、米経済指標も織り込み済みの結果が多かった。FRBの金融政策もそこまで悲観的に見るものではなく、今週の相場は安定するであろうと思っていた。

しかし蓋を開けてみると、毎日毎日、為替が次々と落ちていく。いったん105円台に推移したと思ったら、あっという間に104円。なんとか持ちこたえたものの、このまま行ったら103円台まで到達してしまうのではないかという恐怖すら垣間見えた。

もはや、どんな経済指標も、どんな材料も、コロナウイルスを前に効果を示す事はない。市場を動かす事はない。真夏の暑さでコロナウイルスが弱体化し、市場は楽観ムードになるのか。それとも感染者は拡大し続け、悲観ムードが広がって大きく円高に推移してしまうのだろうか。

これまでのロジックでは全く予想できない次の一週間が始まる。

 

今週のサマリー: 連邦公開市場委員会FOMC)の結果や大詰めを迎える追加財政策交渉の行方

FOMCの結果は30日3:00。包括的経済緩和策やYCCへの言及が焦点だった

・米労働市場と失業保険補助策の行方が焦点だった

 

Wrap up

連邦準備制度理事会 (FRB) は、コロナウイルス感染拡大に伴う緊急融資プログラムを9月末からから年内まで延長する事を発表したものの、景気不安を払拭するには至らず、NY市場はさえない状況だった。

共和党上院が1兆ドルの追加財政策案を発表したものの、3兆ドルの緩和策が必要とする民主党との乖離が大きく決着の見通しが立たないとの見方から、経済回復への道のりが遠のいたというムードが高まり、市場環境は悪化した。

FOMCでは、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.00-0.25%に据え置くことが全会一致で決定された。声明では、「新型コロナウイルス感染拡大の影響からの景気回復に向けあらゆる手段を尽くす」という力強い表明が示されたものの、政策内容はすでに織り込み済みの範囲から抜け出すことはなく、景気回復をイメージさせるにはほど遠かった。

フォワドガイダンスの修正や量的緩和の拡大という長期的な金融政策よりも、コロナウイルス二伴う企業の業績悪化に付随する短期的な景気悪化を優先する金融政策が、当面取られるのではと予想される。

 

Dailyの動き

 

前日NYダウ

日経平均株価終値

USD/JPY(18:30頃時点)

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7月27日(月)

26,469.89

(▲182.44)

22,715.85

(▲35.76)

105.50

米中の総領事館の閉鎖で貿易摩擦の対立悪化を懸念。日系は大幅安からスタートしそうなものの、ETF買い入れなどで下値は限られるはず。問題は為替。

思いのほか値下がりせずショートポジション勢が買戻しを入れた結果、下落は限定的に留まった。為替は106円台に戻すには時間がかかりそうだが、明日からの決算次第でトレード再開するつもり。

7月28日(火)

26,584.77

(+114.88)

22,657.38

(▲58.47)

105.37

米製薬会社モデルナによるコロナワクチン開発の進捗が良好。追加緩和策も進みそう。GDPも回復基調。だが、経済全体を押し上げる材料にはいずれもならなそうで、しばらく円高基調は続きそう。株はこのあたりの値段でもみ合う。

米国金利の回復によってドルはやや買われた。今晩からのFOMCでは金融政策の維持が訴求されるはずだが、市場は既に織り込み済み。ワクチン開発でじわじわとリスク選好ムードになることを祈っている。

7月29日(水)

26,379.28

(▲205.49)

22,397.11

(▲260.27)

104.90

追加緩和策が与野党で乖離し、いかなるQEもゼロ金利維持政策もコロナ不安の前に沈黙し、ドル売りが加速。マクドナルド等企業決算も予想より悪いと、踏んだり蹴ったりの材料ばかり。しばらく為替は105円台と見る。

為替が大きく懸念。おそらく市場想定内の緩和策に留まり、緩和によるドル売りが加速し、103円台も覚悟しておいたほうが良いかも。長期保有で含み損を消す体力が必要になってきた。

7月30日(木)

26,539.57

(+160.29)

22,339.23

(▲57.88 )

105.09

FRBが金融緩和の拡大とゼロ金利政策の維持を言及した結果、ドルは一層の売り基調。おそらくコロナの見通しがつくまでこの傾向は続き、為替は当分戻らなさそう。

コロナの年後半回復シナリオにより支えられていたドル価値は、そのシナリオ崩れによって下落し、もはやドル高材料は皆無。103円台はないだろうが、104円台をうろつくと見込まれる。国内決算は他業種で増益基調だが、国内株式に反映されることはなく、もはや何もコロナには敵わないマーケットと化した。

7月31日(金)

26,313.65

(▲225.92)

21,710.00

(▲629.23)

104.81

あらゆる好材料が、コロナによる長期的なrecession不安にかき消され、圧倒的な円高ムード。来週にも103円台に突入しそうな構えを見せているので、思い切って損切を狙うしかない。

小規模銘柄でコロナに関連する銘柄は、大打撃を予測した決算が予想よりも上回る展開を見せ上昇しているものの、マーケット全体を押し上げることは決してない。もはや心理的に好転することはない。秋までは。

 

来週の注目視点

ドル売り材料は揃っている一方、ドル買い材料は皆無。それを見つけに行く。
米企業の業績見通しとそれに伴う雇用情勢に注目。

7月13日週の投資戦略記

■今週のサマリー: 米国重要企業の決算が連続

Wells Fargo: 失墜。Revenueも大幅減に加え、Net incomeは赤字着地。
JP Morgan: Credit Lossが大きくNet incomeは前年同期比51%減なものの、CORPORATE & INVESTMENT BANK (CIB)部門が前年同期比66%の増収で好調となり、コロナの悪影響ムードを払拭。
Goldman Sachs: Investment Banking部門が絶好調で、Net revenueで前年同期比36%増収、前期比22%増収。M&Aではなく、ECM、DCM部門でけん引。トレーディング部門の好調はJP Morganと同じで、同市場の快調ぶりが見て取れる。
Bank of America: Revenueが伸びなかったばかりか、引当金計上 (Credit Loss) が多額となりNet incomeで前年同期比半減。
Morgan Stanley: Investment Bankingは前年同期比39%増、トレーディングも同8%増と共に好調で過去最高益。

[Wrap up]
米金融企業はトレーディング収益が全体的に好調で、コロナに伴う引当金計上 (Credit Loss) の悪化によるマーケットへの悪影響ムードをある程度払拭した。

しかし、そうした好調な決算も市場の牽引役にはならず、止まらないどころか拡大の続くコロナウイルスへの不安視で株価の上値は極めて重い状況。

投資家心理としては、ある一定以上のキャッシュポジションを崩したくないという状況だ。

 

■Dailyでの振り返り

7月13日(月)
open
米マーケット高を引き継いで買い先行で始まるものの、積極的に買う材料が見つからず、今週は米中の重要指標や米企業決算が相次ぐこともあり、今日は特段動きが限られそう。為替は106円台に突入し、じわじわと円高ムード。これも、今週の決算発表でどう揺れるかに注目したい。

close
+493.93高。為替は107.03 (18:30現在)。コロナ感染の再拡大が重荷となって、リスクを積極的に取りに行く姿勢にはなりづらい。5Gやデジタル関連銘柄、災害に伴うドローン銘柄など個別株でトピックはあれど、日経平均が23,000円台に乗せるための材料にはなりにくい。明日からは、米企業決算発表が本格化する。

 

7月14日(火)
open
前日NYダウ+10.50。材料乏しく、売りでスタート、やや円安に。コロナウイルスが潜在意識となりキャッシュを厚めにもとうとする投資家の意識がマーケットに現れており、利確の動きが目立つ。日中は相場を動かす指標発表も限られ、動きは限定的となりそう。

close
197.73安。為替107.32 (18:40現在)。やはり日経は伸びない。個人投資家は個別銘柄の業績を睨みながら短期の利確を狙う投機的な動きが強まっていそう。為替は再び106円台になる可能性が高いと見ているので、売りポジションを入れよう。

 

7月15日(水)
open
前日NYダウ+556.79。日経平均は当然の反発スタートで、コロナウイルスの米ワクチン開発に向けた明るいニュースが下支え。JPモルガンはInvestment Banking部門の収益が好調で、コロナの悪影響を払拭。Wells Fargoは失墜。本日も米金融企業の決算に注目したい。おそらく23,000円台を乗せずに売りの動きが加速すると思っている。

close
358.49高。為替は106.90 (18:50現在)。日経平均は23,000円台がまさか見えてきた格好だが、今晩の米金融企業の決算発表でどうなるか。また、金融緩和策に対する要人の考えなども注目を続けたいところ。リスク選好のムードや、思いのほか個別株で好業績が出ている銘柄が多く、為替はしばらく106円台が続くのではないか。

 

7月16日(木)
open
前日NYダウ+227.51だが、日経平均はややマイナスからのスタート。今日は引き続き、バンカメやブラックロック等の米金融企業の決算が続いたり、中国GDP、欧州マクロ指標、米小売・製造業指数が相次いで発表され、投資家にとってはせわしない一日となりそう。ゴールドマンサックスの決算好調が心理を良くしている。

close
JPMorganやGoldmanSachsが不安を払拭する好決算を出しており、本日夜のNYダウはもう一段高く付くかもしれない。為替は円高が続いており、必ずしも決算発表がリスクを取る動きに繋がっていないのが投資家の潜在意識の怖いところ。ドルは保有キープでいく予定。

 

7月17日(金)
open
前日NYダウ-135.39で、見事に予想が外れた。米製造業指数の回復、中国GDPの好感、金融決算の好調により、ややリスクを取る動きを見せてきたし、為替もやや円安に振れてきた。しかしコロナは根強く、NYダウは値下がり。今週の指標発表はひと段落したため、週末は値動きが落ち着きそう。保有資産はキープする。

close
73.94安。為替107.17 (18:30現在)。コロナの再拡大に揺さぶられ、いまいち抜け出せないのが今のマーケット。米金融大手の相次ぐ好決算もコロナの潜在リスクには及ばず、株を買い増す勇気は出ない。


■来週の注目視点

・コロナ感染拡大と、ワクチン開発ニュースの展開が投資家の最大の焦点に
・ハイテク株が伸びるも、利益確定売り
・米事業会社の決算が相次ぐ
・製造業購買担当者景気指数や国内消費者物価指数、米中古住宅販売件数などが発表予定だが、いずれも市場へのインパクトは限定的で、コロナウイルスのニュースにかき消されると想定